【読書】パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

 

  最近はどうにも読書に時間を割り当てておらず、買っても放置ってのが多かった。というわけで久しぶりのまともな読書。

 架空の薬物をテーマに宗教やらなんやらを絡めた、部分的にはある種幻想小説めいた作品。ディック作品の魅力は、当たり前にある現実が突如として崩壊するカタルシスにこそあると思っているが、今作はそれがある薬物によってもたらされる。なんとなく、王道のSFって感じではないのだけれど、個人的には流れよ我が涙、電気羊、宇宙の目の次くらいにはお気に入りかもしれない。ディック後期三部作といわれるうちのひとつ、ヴァリスなんかよりはまだ地に足がついてるような感覚で読めるので、まだまだ初心者向け、エンターテインメント的な気がする。

 新装版のカバーデザインがすごくオシャレなので、電子化が進んできた現在でも、書籍で買う価値はかなりあるかと。というか個人的には、ハヤカワは天アンカットなので買うなら書籍ですよ。これは私が天アンカット好きなだけですけど。