【読書】ヨハネスブルグの天使たち

 

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)

 

  文庫版が発売したときに購入。単行本のときから気になっていたけれど、なかなか機会がなかった。実はサイン本。これはそのすぐ後働くことになる書店で買ったものなので、名前を見るとその働いていた時期を思い出す。おかげでブックカバーを折るスキルだけは無駄に身についた。

 自分はエンターテインメント色の強いSFを読むことが多いけど、今回のこのヨハネスブルグの天使たちはやや文学的(もちろんエンターテインメント的な面もあるが)。直木賞候補に残ったことが、それを裏付けるだろう。個人的にはここまで尖った、挑戦的な(しかも!)SFが直木賞候補に挙がるというのが結構驚きなのだけど。

 読書に関して、粗筋やら感想やらを書くつもりの場ではないので、つらつら書くことはしないが、「9.11以後」やら「伊藤計劃以後」やらで、やたら記号化される現代SFの新たな一面を見た想いである。確実に造形描写が限られており、キャラクター性を削ぎ落とされた人物を描く著者であるが、作中に登場するキーパーソン(?)、DX9は明らかにかの電子の歌姫をモデルとしているし、現代でなければ描けなかった作品であるように思える。現代に至り、純粋な本格推理小説というジャンルは、やや書かれ切った感があるが、SFというジャンルは未だに多様化を続けている。今後に注目。

 とはいえ、その前に「盤上の夜」も読まなければな。