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森博嗣「イデアの影」

 

イデアの影

イデアの影

 

  最近はどの本もそうなんだけど、この本も例に漏れず、読むのにかなりの時間をかけた。単純に長い時間読んだというわけではなく、短期間にまとめて読まなかったっていう意味。買うのは発売日に買ったんだけどね。

 今回は作家買い。あまり懐に余裕がある人間でもないので、普段はこういうハードカバーの単行本は買わずに、文庫落ちを待つのだけれど、「イデアの影」に関しては装丁のデザインがとてつもなく上品でお洒落だったので、ついつい買ってしまった。ぜひ一度書店にいったときに手に取って見てみて欲しい。今ならまだ新刊のコーナーにあると思う。

 どうやら谷崎潤一郎没後50周年記念の企画で書かれたものらしい。たいていこういうものはオマージュのような内容になっていると思うのだけれど、残念ながら不勉強な私は谷崎潤一郎の作品を読んだことがなく、だからまったくその点に関しては何も言うことができない。

 ジャンルはおそらく幻想小説といわれるもの。具体的にどういうものかは個人個人で調べてもらいたいんだけど、簡単にいうなら「オカルト」。地に足のつかないような曖昧な世界。ぶっちゃけ私はこのカテゴリが大の苦手。ので今回も読むのに苦労した。まぁ、同じ作者の「赤目姫」ほどではないんだけど。「赤目姫」は読みながら何度寝落ちしたか。

 で、感想。読んでおいて言うのもなんなのだけれど、正直一回読んだだけじゃなんともいえない。幻想小説を論理的に理解しようとするのは間違いなのかもしれないけど、あれは結局なんなんだ、とかどうしても思ってしまう。一章二章あたりはまだ現実の割合が多かったと思うし、キャッチーなサスペンス的要素もあった。けど、後半のハーモニカの少年とか鏡の中の自分だとかもうわからん。自分なりに簡単な解釈はしているけど、それは解釈というより、書いてある通りのことをそのまま鵜呑みにしたに過ぎない。例えばアルファベットのABCの次にEと来ても、「なぜ」と思わずに「なるほど」と疑問を持たずに咀嚼しているだけ。例えが下手で申し訳ないが。

 結局、まともな考察をしようとすると、もう一度読む必要があるわけだけど、現状そんな気もない。考察をする気も、読み直す気も、どちらもだ。数年後に再読はすると思うけれど、しばらくはいいかなー。