河野裕「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」

 

汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫)

汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫)

 

  新潮文庫nexの創刊時に書店で一冊だけなぜか手に取った「いなくなれ、群青」。ぶっちゃけ表紙とタイトルで決める、いわゆるジャケ買いというやつだった。当時はもうあまりラノベは読まなくなっていたし、そもそも小説の読書量も格段に少なくなっていたんだけど、そのせいか、初読時の衝撃は相当なものだった。簡単にいって自分の好みに非常にマッチしていて、読書における「やめられない止まらない」という感覚を久しぶりに味わった。

 わりかし自分と似た好みの傾向を持っていた人が多かったらしく、「いなくなれ、群青」は結構な話題になり(なったと思う)、特に長いインターバルはなく二冊目、三冊目と出て、現在全三冊の階段島シリーズは累計27万部達成したらしい。

 その三冊目、数日前に発売した「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」を、取り急ぎ買ってきて、昨日読み終わったので軽く薄く感想めいたことをば。

これは僕の失恋であり、同時に、初恋の物語だ。七草は引き算の魔女を知っていますか――。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女? ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。

 以上があらすじ。Amazon商品説明からの引用。

 ていうか三冊目の舞台なり話しの流れなりを説明しようとすると、どうしても一冊目「いなくなれ、群青」のネタバレになるし、さらに内容に踏み込もうとすると二冊目の「その白さえ嘘だとしても」のネタバレになる。考察めいたことを書くならまだしも、そんなこと書く気はないし、未読の人には読む価値はあると推したいシリーズ(正確には一冊目だけ)だからあえて内容に近しいことには何も触れない。

 感想としては、概ね満足。このシリーズに求めている、切なさと優しさが同居したような文章は今回も健在だったし、途中ややくどいと思ったりしたけど、(たぶん)独特の風景描写も嫌いではない。普通にライトノベルを買って読んでも味わえないだろう恋愛模様もグッド。むしろこれのために買っているまである。

 でも一つ、これは自分の癖みたいなものなんだけど、最初から上下巻になっているようなもの以外での続きを匂わす終わり方が嫌いなので、今作のエピローグはやや蛇足に感じた。既刊「いなくなれ、群青」も「その白さえ嘘だとしても」も、そのままそこで終わってしまっても良いと思えるくらいには綺麗な着地をしていた。からこそちょっと気になってしまったなー。続刊が出るのが嫌なのではなく、むしろ嬉しいことだけど、単体として見たとき「どうなの?」と思ってしまった。まぁ別に欠点ではないだろうけど。そもそも、そういう続き前提のモノであると思って触れれば特に何も感じないはずなので、次回からはそう思って読む。

 シリーズ四冊目はすでに来年秋に刊行が決まっているらしく、楽しみ。上の段落で書いた通り、続き前提のライトノベルみたいな終わり方を「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」ではしていたので、読み直すとしても来年秋近辺になるかな。エピローグを読まずに5話で読むのを止めておけば、とても綺麗な着地なので、そういう手もある。