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白河三兎「ふたえ」

読書

ドン臭い「ノロ子」、とにかく地味な「ジミー」、将棋命の「劣化版」、影の薄い「美白」、不気味な「タロットオタク」、一匹狼の手代木麗華を寄せ集めた修学旅行の「ぼっち班」。問題児・手代木に振り回されるうちに、「ぼっち」たちは青春をかけて走り出していた!切ない真実がラストで明かされたとき、この物語はまったく新しい物語に生まれ変わる。ミステリー界の新鋭白河三兎最新作!

ふたえ

ふたえ

 

  基本的に読もうと思った本は購入することにしているけど、単価の高いハードカバーなどの単行本は図書館でお世話になることが多い。だいたい読みたいと思うのは新刊だし(新刊じゃなければ文庫が出てるし)、予約して借りるんだけど、いつもいつも期限のギリギリ、つまり借りてから14日めに読み始める。

 今回もそんなで、深夜に一気に読んだ。読み終わったときは朝四時。おかげで今めちゃくちゃ眠い。そして失敗に気付いたんだけど、この作品は読み返ししてより楽しめるタイプのものだった。読み返す体力も時間もなかったので、その楽しみは文庫化されたときまで取っておこうと思う。

 この著者の本はデビュー作「プールの底に眠る」と「ケシゴムは嘘を消せない」、それと「神様は勝たせない」が既読。前ふたつがとても良くて、新刊の情報はたまにだけど、チェックしてた。ちなみに前ふたつはノベルス版と文庫版で改稿があり、結構違うらしいけど自分が読んだのは文庫版。

 今回読んだ「ふたえ」の内容に触れるとどうしてもネタバレしかねないわけなので、あまり語れない。とはいえ上にあらすじ引用文を載せたのでわかると思うけど、うん、叙述トリックです。叙述トリックというのはまったく予期していないからこそ良いわけで、こういう売り文句は作品を殺しに来てると思うんだけど、まぁ、売ることを考えたらしょうがないんだろう。

 その叙述トリックに関してだけど、自分は途中からずっと違和感こそ抱いていたけど、眠さの影響もあってか(個人的にこの説を推すけど)、作中で明かされるまで具体的に何がどうなっているのかはわからなかった。読み返す時間があればまた違っただろうし、やっぱり読書は余裕をもってするべきだなぁ。

 総合的に考えて、結構良かったと思う。個人的にこの人の文体から感じられる空気感みたいなものが絶妙に好みなので、評価は甘めだと思ってくれてもいい。青春小説というものにカテゴライズされるのかどうかは、青春小説をあまり読まないのでわからないけど、少なくとも自分はこれを青春小説であると思う。